『鬼滅の刃』の不死川兄弟と言えば、兄の不死川実弥(しなずがわさねみ)と弟の玄弥(げんや)です。
鬼殺隊のなかでとても仲が悪かったのですが、兄弟の不仲の理由と二人の過去から最後の和解の経緯までをくわしく解説します。
ネタバレ注意です!
不死川兄弟は、なぜ仲が悪いのか?
刀鍛冶の里で玄弥は、柱になって兄の実弥(さねみ)に認められて、“あの時”のことを謝りたかったと、死の瀬戸際でなげきました。
しかし、兄の実弥はそんな弟を拒絶します。
いったい二人の間に、何があったのでしょうか?
玄弥の言う“あの時”とは、何なのでしょうか?
それを知るには、過去をさかのぼらないとわかりません。
不死川兄弟の残酷な過去
今の柱たちは、悲惨な過去の人がほとんどです。
不死川兄弟の過去も悲しすぎます。
不死川兄弟は7人で、実弥は長男、玄弥は次男、弟は2人、妹は3人でした。
父親はよく家族に暴力をふるい、人に恨まれ刺されて死んだので、自業自得だと思われてました。
実弥と玄弥の年齢は5歳ちがいですが、おたがい仲が良く父親が死んでから、実弥は「これからは俺とお前でお袋と弟たちを守るんだ」と玄弥に言ったとき、玄弥は「これからはじゃなくて、これからも」と答えると、実弥は笑っていました。
この会話の場面は、『鬼滅の刃』13巻第115話の回想シーンで、実弥は大八車をひっぱって、なにか大きな桶のようなものを運んでいて、玄弥は大きな風呂敷包みを肩にしょってました。
二人は家計を支えるため、一緒に働いていたのかもしれませんね。
何の仕事かわかりませんが、ろくでもない父親がいなくなって、二人はせいせいしていましたが、幼い弟妹は心細いだろうからと、ともに頑張ってる姿に二人がどれだけ家族想いかが伝わってきました。
実弥と玄弥は、このとき本当におたがい助け合い、仲良く楽しく暮らしていました。
そんな貧しいながらも、仲睦まじい家族に突然不幸が襲いかかります。
ある晩、仕事に出た母親がちっとも帰ってこないので、心配した実弥は母親をさがしにいきます。
玄弥とほかの弟妹は、心配で眠れません。
夜明け前に、いきなりドンドン戸をたたく音が聞こえたので、母親だと思って駆けよると、戸をうち破って狼みたいなバケモノが、子どもたちに次々襲いかかり、そのとき実弥が戻りバケモノをかついで外に出ました。
実弥のおかげで玄弥は助かりましたが、弟妹たちはやられ倒れているので、医者を呼ぶため玄弥は外に駆けだすと、なんと目の前に血まみれで死んでいる母親と、そこに立ち尽くしている実弥がいました。
玄弥は母親に駆けより泣きすがり、「何で母ちゃんを殺したんだよ!!」
「人殺し!!」と実弥に叫びました。
血まみれでナタを持った実弥は、ただ呆然と立ち尽くしているだけでした。
この悲惨な過去を知って、私はようやく実弥が、これほどまでにギラギラと殺気にみちて、鬼への怒りと憎悪が、こんなにすさまじいのかがよくわかりました。
愛する母親が鬼になったとはいえ、自分が殺してしまったことは、心がこわれてしまいそうな大打撃です。
母親は正確には朝日で死んだのでしょうが、それでも実弥にとっては、自分が手をかけたのと変わりないでしょう。
そのうえ、自分が助けた弟玄弥に「人殺し」と言われ、返す言葉もなかったでしょう。
実弥は、この後どうしたのでしょうか?
母親の遺体は朝日で消えたでしょうが、弟妹たちの遺体を実弥と玄弥が弔ったのでしょうか?
なんとなくですが、実弥は弟妹たちも死んでしまったのを知ると、血まみれのまま走り去ったのではないかと私は思います。
この鬼になった母親の死をめぐって、あんなに仲が良かったのに、二人は決別してしまいました。
ホントに悲しいかぎりです。(涙)
実弥は、なぜ玄弥に目つぶししようとしたのか?
『鬼滅の刃』15巻第133話で、やっと玄弥は兄の実弥に再会できたのに、実弥は冷たくあしらいました。
私はこれを見て、実弥はなんてイヤなやつなんだと思いましたよ。
玄弥がなんとか謝ろうとしても、
「心底どうでもいいわ」
「失せろォ」と、実弥がつっぱねる。
「そんな…俺…鬼を喰ってまで…戦ってきたんだぜ…」と玄弥が言うや、
「何だとォ?」
「今何つった?テメェ……」
「鬼をォ?喰っただとォ?」と実弥は血走った目をギラつかせ、いきなり玄弥の両目を突こうとしたところ、炭治郎がダッシュで入って玄弥を助けました。
「どういうつもりですか!!」
「玄弥を殺す気か」と炭治郎がどなると、
「殺しゃしねえよォ 殺すのは簡単だが 隊律違反だしよォ」
「再起不能にすんだよォ」
「ただしなァ 今すぐ鬼殺隊を辞めるなら許してやる」と、実弥がスゴイ形相で言います。
炭治郎は怒り、玄弥をかばって実弥にまくしたてます。
炭治郎あっぱれ!
稽古で実弥にボコボコやられているのに、恐れずひるまず反論する炭治郎エライ!
私がもしこの場にいたら、善逸みたいにビビッて何もできなかったでしょう。
炭治郎は本当に勇敢に玄弥を守ろうとしたので、私はこの場面だけでも竈門少年を尊敬しました。
玄弥の想いを必死で伝えた炭治郎の姿に、玄弥はあっけにとられながらも内心うれしかったと思います。
玄弥の心は、炭治郎に救われたと思います。
あとで岩柱の稽古で再会したときの玄弥は、別人のようでしたね。
私はつらつら考えるんですが、もし炭治郎がいなくて、玄弥は目つぶしされ半殺しにあったら、玄弥は奈落の底に落ちたくらい心が砕け散ってしまったと思います。
肉体は鬼の力で回復できますが、心は深く傷ついて治らず、玄弥は大好きな兄に恨まれて、許してもらえないんだと絶望したことでしょう。
炭治郎はまたしても鬼も人も、玄弥の心も救いました!
さて話を戻して、実弥と炭治郎のケンカを止めようと、ほかの仲間も加わってグッチャグチャの乱闘になりました。
実弥は本気で怒って、玄弥を再起不能にするつもりでした。
なぜ実弥は、こんなひどいことをするのでしょう?
不死川実弥はなぜ冷たい?その本心は?
不死川実弥の弟玄弥に対しての態度は、ホントにひどいと思いました。
なぜこんなに怒るのか、はじめわからなかったので、気が変になってるんだと私は思ってました。
しかし、ライトノベル吾峠呼世晴・矢島綾著『鬼滅の刃 風の道しるべ』を読んで、ようやく実弥の本心がわかりました。
ライトノベルから、抜粋すると以下の通りです。
「玄弥もやさしい奴だから、自分以外の人間を―仲間をかばおうとする奴だから。
そのやさしさが弟の命を奪うくらいなら、自分はどれほど恨まれ憎まれても構わない。
(俺は胡蝶とは違う)
弟を受け入れ、ともに戦うことは出来ない。
どんなことをしてもアイツを守りたいから。
拒絶する以外に、アイツを守る術を知らないから」
このように実弥は、亡き親友匡近の墓前に問いかけていました。
匡近が姿をあらわして実弥に話していたなら、必ず反対して玄弥の意志を認めるよう説得したでしょう。
きっと魂だけの匡近は、何も伝えられず歯がゆかったと思います。
「泣いた赤鬼」を地で行く人
『鬼滅の刃公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐』の不死川実弥の「大正コソコソ噂話」によると、
「「泣いた赤鬼」を地で行く人です。
大切な人を守るためなら、自分が死んでも、嫌われても、悪者になって追放されても構わないというタイプです。
ぶっきらぼうで誤解されやすいのと、行動するまでが速すぎるので、花柱の胡蝶カナエからは心配されていたようです。
玄弥と同じで、自分を良く見せようなどの打算が無く、人からの評価を一切気にしません」と書かれていました。
どうやら「泣いた赤鬼」の話に出てくる青鬼が、実弥ということなのでしょう。
実弥はあえて玄弥をつき放して、玄弥を普通の人の生活にもどしたかったようです。
それが、黒死牟(こくしぼう)戦で明らかになりました。
それにしても、嫌われても誤解されてもかまわないタイプは、どうにもこうにもなりませんねぇ。
炭治郎がいてくれて、ホントによかったです。
それでないと、玄弥はずっと兄の実弥に許してもらえないと嘆く人生だったからです。
やっぱりうまく伝わらなくても、おたがいの気持ちは正直に言うべきだと私は思います。
黒死牟の壮絶な戦いのなか、玄弥と実弥はようやく仲直り!
とどのつまり、実弥がどれだけ拒絶しようが、玄弥はひたすら兄の背中を追いかけて戦いました。
『鬼滅の刃』19巻第166話、無限城で無一郎が倒れ、玄弥が黒死牟(こくしぼう)に殺されそうになったとき、颯爽と風をまきあげ登場した実弥は、柱稽古のときとは別人でした。
「テメェは本当に どうしようもねぇ弟だぜぇ」
「何の為に俺がァ母親を殺してまで お前を守ったと思ってやがる」
「テメェはどっかで所帯持って 家族増やして爺になるまで生きてりゃあ良かったんだよ」
「お袋にしてやれなかった分も 弟や妹にしてやれなかった分も」
「お前が お前の女房や子供を幸せにすりゃあ良かっただろうが」
「そこには絶対に俺が 鬼なんか来させねぇから…」と実弥が言ったので、
「ごめん兄ちゃん…ごめん……」と、玄弥は涙目でやっと謝ることができました。
炭治郎が柱稽古の食事のときに、玄弥に実弥が怒ったのは鬼殺隊に入ったことで、それ以外の憎しみはないと言ってました。
なによりも「玄弥のことがずっと変わらず大好きだから」と、炭治郎は玄弥に笑顔で言ったので、玄弥は半信半疑だったでしょうが、大いに気持ちが救われたと思います。
あんなに炭治郎と実弥は乱闘になったのに、よく炭治郎は実弥の本心がわかったなぁとつくづく感心します。
こんな乱暴な実弥の心の内がわかる炭治郎は、それだけで超能力者じゃないかと、私は思ってしまいますね。
玄弥は炭治郎と仲良くなってから仲間意識が芽生え、みんなの役に立ちたいと思い、渾身の力をふりしぼって、でもやみくもにならず冷静に考えて黒死牟を攻撃します。
玄弥はずっと悲鳴嶼の修行を見てきたので、観察力と分析能力がつき、おまけに炭治郎のアドバイスもあって、玄弥は黒死牟の髪と刀を食べて、血鬼術を使い黒死牟の動きを止めました。
黒死牟の体じゅうに木がはえて根をはり、身動き取れなくなった黒死牟に、悲鳴嶼(ひめじま)と実弥と無一郎の三人は同時に攻撃しましたが、さすが上弦の鬼・壱の実力はすさまじかった!
悲鳴嶼と実弥はふっ飛び、無一郎は胴体真っ二つ、玄弥も真っ二つで半身になってしまいました。(涙)
無一郎は上半身だけになっても、右手を布で巻きつけた刀を万力の握力で、もはや執念のごとく握りしめると、刃が赤くなり黒死牟の左脇腹をえぐりました。
縁壱(よりいち)と同じ赤い刃、赫刀です!
無一郎は死の間際で、もはや虫の息のはずなのに、精神力のみで赫刀を発動しました。
黒死牟にとって、日の呼吸の使い手ではない者たちが、刃を赤く染めるなど認めたくない事実でした。
この赤い刃は黒死牟の再生能力を低下させ、悲鳴嶼と実弥はひるまず何度も攻撃して、やっと首を切り落としたのに、また黒死牟は負けたくない執念で、首を再生しようとしました。
悲鳴嶼はすかさず実弥に、「攻撃の手を緩めるな!!」
「畳み掛けろ!!」
「時透と玄弥の命を決して無駄にするな!!」と叫ぶと、実弥は「消えて無くなるまで刻んでやらアアア!!」と、涙を流しながら叫びました。
結局、実弥の刃に映った自分の姿に、黒死牟は愕然として戦意を喪失します。
そのうえ追いうちをかけるように、無一郎が刺したところから崩れだし、悲鳴嶼と実弥の猛攻撃にあい、ボロボロと黒死牟の体はくずれ去りました。
不死川実弥号泣!
せっかく仲直りしたのも束の間、玄弥は出血多量で再生できず、鬼のように体がくずれて消えようとしていました。
『鬼滅の刃』21巻第179話の不死川玄弥の死亡シーンは、和解と涙の別れの感動の場面でもあります。
抜粋すると、以下の通りです。(「 」が引用文。)
実弥は満身創痍(まんしんそうい)なのに、半身になってしまった玄弥に駆けより、「大丈夫だ何とかしてやる」
「兄ちゃんがどうにかしてやる」と泣き叫ぶと、
「兄…ちゃん…ご…めん…」
「あの…時…兄ちゃんを…責めて…ごめん」
「迷惑ばっかり…かけて…ごめん…」と、玄弥も涙ながらに答えます。
「迷惑なんかひとつもかけてねぇ!!」
「死ぬな!!」
「俺より先に死ぬんじゃねぇ!!」と実弥。
「守って…くれて…あり…がとう…」と、玄弥の体はどんどん消えてゆきます。
「守れてねぇだろうか!!馬鹿野郎」と、実弥は叫ぶ。
「兄ちゃん…が…俺を…守ろうと…してくれた…ように…」
「俺も…兄…ちゃん…を…守り…たかった…」
「同じ…気持ち…なん…だ…」
「兄弟…だから…」
「つらい…思いを…たくさん…した…兄ちゃん…は…幸せに…なって…欲しい…」
「死なないで…欲しい…」
「俺の…兄ちゃん…は…この世で…一番…優しい…人…だから…」と、玄弥の体はどんどん消えていく中で、玄弥はぽろぽろと涙を流しながら静かに言いました。
実弥は絶叫して、神様に弟を連れて行かないでくれと頼みますが、「あり…が…とう…兄…ちゃん…」と玄弥は言い残し去っていきました。(涙涙)
不死川兄弟の私の感想
この不死川兄弟の涙の別れも、本当に名場面だと思います。
とにかく泣ける。
実弥が本当はとてもやさしくて、弟想いだったんだと実感できました。
実弥はこんなにやさしい人なのに、鬼への憎悪ですっかり復讐のために生きる人になってしまいました。
鬼殺隊で粂野匡近(くめのくにちか)という兄のように接してくれた人に対しても、ずっと突っぱねて素直になれませんでした。
弟の玄弥に対しても、鬼から守ることが拒絶することなんて、どういう思考回路なんだろうと思ってしまいます。
玄弥は兄を守りたい、認めてほしいのに、兄の実弥は玄弥が鬼殺隊に入らず普通の人生をすごしてほしいの一点張り。
二人ともおたがいを想いあっているのに、仲たがいになってしまって、それが尚つらいですね。
私は二人を見て、人は素直であることが一番大事だと思いました。
それに自分を大事にしない人は、結局愛する人でさえ大事にできなくなります。
自分の勝手な思い込みで突っ走っても、相手はまったく理解できないし、かえって誤解を招いて悪くなるほうが多いです。
たとえ理解できなくても、おたがい素直に自分の気持ちを伝えることが大事だと思いました。
それで上手くいかなくても、それでも気持ちが伝われば、なんとなく関係も変わっていくはずです。
実弥が少しでも素直だったら、匡近や玄弥と楽しくすごせて、たとえ死に別れても楽しかった思い出とともに生きていけたのになぁと、私は思ってしまいます。
長々と最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。
ほかにも玄弥について、詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
☞「不死川玄弥がなぜ鬼になった理由は?いつから?最後までを徹底解説!」



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